予約表を開くと、今日の枠はきれいに埋まっています。ありがたいと思いながら準備をして、時間を迎えます。ところが、誰も来ません。電話も鳴りません。
予約表は満席。お店は空席。
空けておいた枠は、あとから取り戻せません。前もって「行けません」と連絡をもらえていれば、ほかのお客様をご案内できたかもしれない。仕込みも、人の配置も、その枠に合わせて動いています。
そこで私たちの予約システムは、予約が入った時点で確認を自動で送ります。さらに前日にも、もう一度「明日のご予約はこちらです」とお知らせします。いわゆるリマインド(念押しの連絡)です。
無断キャンセルの理由はさまざまです。ただ、日にちを勘違いしていた、予定に入れ忘れていた、ということも少なくありません。そこはお店のほうから先に「お待ちしています」と伝えるだけで、変わる余地があります。
前日の夜に、お客様へ一件ずつ連絡する手もあります。でも営業後の体には重い作業です。空き枠を減らすために、連絡する。連絡するために、休む時間が減る。本末転倒やないか。

お客様がいつも開いている場所へ
送り先は、メールだけではありません。公式LINEにも送れます。
メールは、仕事の連絡や広告に埋もれがちです。LINEは、家族や友人とのやりとりで毎日のように開く方が多い場所です。予約のお知らせが、その並びに届きます。
どれだけ丁寧な文面を書いても、開かれない場所に置いたのでは意味がありません。倉庫にポスターを貼って「告知しました」と言っているようなものです。
大事なのは、こちらが「送った」ことではなく、お客様の目に「届いた」ことです。お客様が普段使っている場所を選べるようにしたのは、そのためです。

派手な機能より、先に作ったもの
予約システムには、作りたい機能がたくさんあります。その中で、この機能を先に作りました。見た目は地味です。
理由は、無断キャンセルの痛みを現場で知っているからです。私たちは、もともとお客様と対面で応対してきた人間です。空いた枠を前に、何もできない時間の重さを覚えています。
もちろん、送れば全部解決とは言いません。連絡なしで来ない日が、ゼロになることもありません。気合で隙間は埋まりません。
それでも、思い出してもらうだけで減らせる枠は、確かにあります。 そこから手を付けるのが、現場の人間が作る順番だと考えました。自社で作っているので、お店の声を聞きながら直していけます。
予約表が埋まっているのに、誰も来ない日の空気を、私たちは知っています。だから派手な新機能より先に、前日にそっと声をかけるだけの地味な仕組みを作りました。お店が気をもむ回数を減らして、お客様との約束を守りやすくする土台を作ること。それが私たちの仕事だと思っています。