前回、レシートを撮るだけで経費が入る仕組みを作った話を書きました。動いたので、1か月ぶんの実績を入れて画面を開きました。
「要確認」が22件。
AIが読んだ直後のものは、人が中身を見て確定させる決まりにしています。ブログもInstagramもXも同じで、AIが下書きして人が押す。その形を経費でも崩したくなかった。だから要確認が出ること自体は想定どおりです。
ただ、22件の中身を見て手が止まりました。21件が決済手数料でした。
毎日わくものに、印を付けてしまっていた
決済手数料は、売上に料率を掛けて自動で計算しています。ただQRコード決済の料率は、PayPayなのか楽天ペイなのかで違います。明細が届くまでは暫定値なので、「概算だから要確認」にしていました。
QR決済のあった日は、毎日1件ずつ「要確認」が積まれます。1か月で21件。
そこに、本当に人が見ないといけない1件 ── LINEで届いたレシート ── が混ざっている。21件の中に1件。 探すほうが大変です。
数が多いほど強い警告になる、わけではありません。 毎日わくものに印を付けると、印そのものが意味を失います。
決め直しました。要確認にするのはAIが読んだものだけ。決済手数料は売上×料率の計算結果であって推測ではないし、毎月の固定費も金額は人が登録したものです。どちらも人に押させる意味がない。
QRの料率が暫定であることは、日ごとではなく画面に1行だけ出すようにしました。「QRコード決済の料率が暫定のままです(21日ぶん・45,179円)」。これで足ります。
いま要確認は1件です。

勘定科目は、サウナ向けに作って失敗しました
もうひとつ、順番を間違えたところがあります。
最初、勘定科目をサウナ向けに15個だけ用意しました。地代家賃、水道光熱費、リネン・タオル、清掃用品……。現場に合っていて、いい感じに見えました。
代表に見せたら、こう言われました。
最初からサウナ店に寄せるのではなく、まずは一般的な会計に必要なことを全て盛り込んだ上で、要らないものだけ削ぎ落としていくイメージ。
そのとおりでした。足りないほうが困るんです。
科目が無いと、行き場のないものが全部「雑費」に入ります。雑費が膨らんだ帳簿は、税理士さんがいちばん困るやつです。あとから科目を足しても、過去のぶんは雑費のまま残ります。
作り直しました。いまは中小企業でふつうに使う33科目が最初から入っています。並びは決算書の順 ── 売上原価、人件費、販売費及び一般管理費。そこから、この店で使わないものをチェックで外す。外しても過去の経費はそのまま残ります。
法律事務所なら「印紙」「郵券」「記録謄写費」をその場で足せます。

給料の科目は、持っているけど使いません
科目を全部そろえたら、今度は別の問題が出ました。
給料手当・賞与・法定福利費 ── 人件費の科目も、当然リストに入ります。でもこのシステムは、人件費を打刻から自動で計算しています。 ここに給料を手で入れたら、月次で二重に引かれます。
かといって、科目ごと消すのも違う。税理士さんに渡す形としては必要なものです。
なので持ったまま、既定では無効にしました。有効にすること自体は止めません。ただ、その科目に金額が入っていたら月次の画面で知らせます ── 「人件費の勘定科目に◯円入っています。このままだと二重に引かれます」。
勝手に除外はしません。どちらが正しいかは、人にしか決められないので。
名前も、途中で変えました
最初この機能を「会計管理システム」と呼んでいました。よくある言い方で、探す人も多い言葉です。
代表からの指摘はこうでした。
税務上の「会計」と、店舗での決済を意味する「会計」とごっちゃになる。
たしかに、お店で「会計お願いします」はレジのことです。「管理会計システム」に変えました。経営判断のための会計、という正しい言葉で、レジのお会計とも被りません。
面白いもので、名前を正確にしたら説明が1行減りました。 「レジのお会計ではありません」という打ち消しが要らなくなったんです。
最初に作った15科目は、よく出来ていたと思います。現場を見て作ったから、現場に合っていた。 ただ会計は、その店の外にも渡るものでした。使う人の手に合わせるのと、渡した先で読めるようにするのは、別の仕事です。どちらも要る、と分かるまでに一度作り直しました。